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短編小説

掌編小説『死神漂流記』

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 正直、納得が出来無い。この国はどうなっているんだ、異常だ。
 斬首台に上げられた僕は、悲鳴を上げることもできずに怯えた目で周囲を見回していた。口は塞がれ、両腕は固く掴まれていて逃げられそうにもない。そもそも、この近代社会に斬首刑という物がある事からまずおかしい。あの、ギロチン大好きなフランスでさえ70年代には廃止していたのに。
 僕は先週、この国に辿り着いた。訪問したのではないし、旅行に来たのでもない。正に辿り着いたのである。僕は客船に乗って世界一周をするという何とも豪華な旅行の真っ最中であった。というのも、雑誌の懸賞に当たった為だ。まさか当選するとは思ってはおらず、そもそも応募したことも忘れていたのにその幸運。当時の僕は浮かれていた。それが先月のことだ。
 そして2週間前。僕はかの有名なタイタニック号を凌ぐ程の巨大な船に乗り込んだ。後々聞いた話によれば、現代では大きな船程安いのだそうだが、まぁそんな事はどうでも良い。僕は出発すると早速デッキに出た。大海原を感じながら、ひとしきり映画のパロディをしてのける。イルカを眺めたりカモメやうみねこを冷やかしたり、トビウオに感動したり鯨の潮吹きに出会ったり。今思えば、あまりにも素晴らしすぎる旅だった。
 出港から3日程で、天候が荒れだした。沖であるにもかかわらず波が暴れ、風は吹き付け、物凄い量の雨が甲板に降り注ぐ。もみくちゃにされた船の中で、殆どの乗客が夕飯を戻していた。然し、それは超巨大客船なのだ。間違っても転覆などするはずはない。船室にこもって嵐をやり過ごせば何事もないはずだった。それなのに、気付くと僕は膝まで海水に浸かっていた。映画館で見覚えのある情景に、僕を含め船にいた人はパニックになった。皆が救いを求めて、映画と同じ様に救命ボートに殺到する。勿論僕もだ。しかし冷静に考えてみると、それはあまりに滑稽な行動だった。ディカプリオが救命ボートを求めた時、嵐は訪れていなかったのだ。混乱故に大事なことを忘れていた僕達は、あっという間に海に投げ出された。僕の記憶はそこで途切れている。
 次に目が覚めたのは今から3日前。どこかの砂浜だった。透明な海水に白い砂。ハワイにでも連れてこられたのだろうかとぼんやり考えていたのだが、原住民の姿を見てどうもそうでないらしいことがわかった。ネイティブ達のファッションはどう見てもハワイアンではなかったのだ。然し、確かに見覚えはあった。そう、西部開拓映画「ヤングガン」に出てきた民族達だ。つまりはインディアン。最近の言葉で言うとネイティブアメリカンだ。そして身の危険を感じる間も無く捕らえられた。こうして今に至るという訳だ。
 何故彼らが現代に存在しているのかはわからないし、ここがどこなのかもはっきりしない。日本語は勿論、英語も通じないみたいだから意思の疎通もかなわない。ただひとつ判る事は、これからの僕の運命だ。多分僕は、海に流された時に異世界か異次元にでも飛ばされたのだろう。丁度ナルニアのような場所に。そうとでも考えなければやってられないし、何とか理由をつけないと死んでも死に切れない。まぁ、どんな理由があろうと無念なのには変わりがないのだが。
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